年明けの講義が始まった.午前中の代数の講義では,これまで初等整数論を題材に代数の基礎の話をしてきた.少し趣向を変えて,暗号への応用を紹介した.
初等整数論の一つのゴールは,有限体の乗法群が巡回群であること(原始根の存在)である.年末に原始根の存在と離散対数まで達したので,関連してDiffie-Hellmanの鍵共有と,Elgamal暗号を紹介した.
公開鍵暗号を解説するときは,現実の応用例として,インターネットで秘密の情報をやり取りするときに使われているのですよ,という事を言ったものだ.しかし,最近だと,デジタルコンテンツの保護にも使われる.DTCPやHDCPといった,デジタルコンテンツを(例えば再生機器とテレビの間で)通信する際の情報保護の規格では,楕円Diffie-Hellman鍵共有が使われているそうだ.
お昼を挟んで,午後は数学英語.受講者が少ないので,ゼミ形式で,英語で書かれた易しい雑誌記事,書籍の一部などを読んでいる.
Euclidによる,素数が有限個ではない,ことの証明は,はじめの 個の素数 をすべて掛けて,それに 加えた数 (ただし は,と,それより小さい素数すべての積を表す)の素因子が,これら 個のどれとも異なることによる.
今回は, についても同じことが言える上に, の素因子に共通するものがないので, より大きく, かそれより小さい素数が少なくとも2つある,というような話.
以前このブログでも取り上げたことのある,
Aldaz-Bravoの短いノートである.
は素数になることもならないこともあるが,無限回素数になるのか?といったことはまだわかっていないそうだ(
Weisstein, Eric W. "Euclid Number." From MathWorld--A Wolfram Web Resource).なので, についての同様の疑問もわかっていないのではないかと思う.
0 件のコメント:
コメントを投稿