2008年2月29日金曜日

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認証をOpenIDでやってみたけど,うまくいかなかった.認証用のURLが上記のリンクに含まれているらしい.

2008年2月25日月曜日

梅田望夫とDyson親娘

梅田望夫さんへのインタビュー記事を読んでいた.
末尾に
「Q:最後に、梅田さんのキャリアパスの中で、影響を受けた方はいらっしゃいますか?」
というインタビュアーの質問がある.梅田氏は
「Esther Dysonという女性です。彼女は創成期のIT産業界で、いわゆるビジョナリーと呼ばれる人ですね。」
と即答していて,幾つかのピースがぴったりとはまった気がした.

E. Dysonに影響を受けているということは,氏のウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)でも触れられている(同書p. 127から).



氏はADLという経営コンサルティング会社に在籍しつつ,様々なロールモデルを研究していた.その間に,E. Dysonの「カンファレンスとニュースレター」というビジネスモデルを学び,強く共感したそうである.E. Dysonのビジネスは,ニュースレター年間購読料が$500(上記インタビュー記事では$600), カンファレンスが年一回$2,500(同$3000)というものだったらしい.梅田氏はこれを日本流にアレンジし,収益もさることながら,大きな人脈を築くことになる.

同書を読んだときにピンとこなかったのは,E. Dysonの名前がカタカナで表記されていた事が大きい.最初にリンクしたインタビュー記事は,web媒体ということもあって,Esther Dysonと書いてある.彼女の父はFreeman J. Dysonなのである.

F. Dysonの名前を挙げるときに,何をした人かを説明するのはちょっと難しい.数学と理論物理学で研究者としてのキャリアをスタートさせた.出世作は,Schwinger, Feynman, Tomonagaの量子電磁力学が,定式化は異なるが理論的に同等であることを示した仕事らしい.S. SchweberのQED and the men who made it : Dyson, Feynman, Schwinger, and Tomonaga. Princeton Univ. Pressという本が,Google Booksで拾い読みできる(リンクはGoogle Books).

しかし彼が有名なのは,科学技術におけるVisionaryとしてではないかと思う.十分進んだ科学技術を持った知的生命体は,住む惑星を照らす恒星をすっぽりと覆う殻を持っている,というDyson殻(またはDyson球)の概念などである.

F. Dysonのいくつかの著作,例えば自伝宇宙をかき乱すべきか〈上〉 (ちくま学芸文庫)同〈下〉や,科学の未来,みすず書房,を読んで感じるのは,物理学,科学技術への理解に基づいた極めて透徹した視線である.そしてそれらに基づいた信念,「私たちは遠くへいけるのだ」.それは,彼の著作にしばしば引用される,メイフラワー号によるアメリカ入植,モルモン教徒のユタ入植から,スペースコロニー,他惑星への入植にまで及ぶ.

F. Dysonの視点は,科学と技術に基づき,その視野は極めて長い時間的スパンと,人類全体ににわたる.一方で梅田氏の視点は,やはり科学と技術に基づいてはいるが,視野はもっと人間的なスケールの時間的スパン,そしてほぼ同時代の人々に渡る.共通しているのは,それぞれが経てきた人生での経験に基づいて(あるいは経験がありながらも)選び取った,先に進もうとする気持ちと姿勢ではないかと思う.






2008年2月20日水曜日

パソコンとバックアップ

職場のノートPCに,外付けハードディスクを増設.LogitecのIEEE1394&USB2.0 HDD 500GB LHD-ED500FU2という製品.型番から分かるように,容量は500GB. 7200rpmの流体軸受けHDD.
インターフェースはUSB2.0/1.1のみならず,IEEE1394, いわゆるFirewireも付いている.
稼働中はファンの風切り音やハードディスクからの音が少し気になる.
一定時間アクセスがないと,ディスクが停止する機能がある.が,停止後再アクセスした際に使えるようになるまでの時間が少々長い(数分?)上に,Windowsの反応も大変悪くなる.
この機能は,私の環境では使わない方がいいかもしれない.



IEEE1394(メーカや状況に応じて,Firewireとか,iLinkとか名前が違うが)が,いささか影が薄れてきたというのは,この規格の隠れ信奉者ならみな言うところ.
少し前の「元麻布春男の週刊PCホットライン」でもその話題が取り上げられていた.ノートPCには4pinの端子が大抵ついているが,デスクトップPCだと珍しい.
AppleのMacには必ず付いていたのだが,先日発表されたMacBook Airでは省略されてしまった(もっともこの製品はethernetの端子すら省いている).

外部接続機器でも,サポートしているものは減ってきているように思う.
IEEE1394は,もともとSCSIの後継として開発された.USBに無い特徴として,デイジーチェーン接続(機器を直列に繋いでいく)ことができる.
http://ja.wikipedia.org/wiki/IEEE_1394
今回も,既存の外付けハードディスク(これもLogitecの製品で,IEEE1394端子が付いている)に,上記のハートディスクを直列に繋いでいる.

ついで,ノートPCの内蔵ハードディスクの内容を,新しいハードディスクにフルバックアップ.バックアップには,Acronis TrueImage 10.0 Homeを使っている.(現行製品はAcronis True Image 11 Home).
競合製品と比較して選んだわけではないが,バックアップしたイメージをマウントしてexplorerからシームレスに見られるなど,使い勝手には満足している.
ハードディスクのクラッシュは,遅かれ早かれ必ず来る.この事態を想定して,週に一回,定期的にバックアップを取っている.
Acronis TrueImageでは増分バックアップが取れるので,一度フルバックアップを取れば,後は比較的短時間で(私の環境だと30分前後),前回からの変更分のみバックアップできる.



PCを買うときには,本体だけではなくて,バックアップに必要な環境・機器類を合わせて揃えるのが必須.
外付けにしろ内蔵にしろ,ハードディスクを余分に用意し,定期的・機械的にバックアップをとる仕組みを整えるべし.
(さらに,バックアップを書き戻す手順も確認しておくべし.いざディスククラッシュが起きたとなると,多少なりとも動揺するので).

2008年2月18日月曜日

本を読む本

アドラー,ドーレン著,外山滋比古,槇未知子訳,本を読む本 (講談社学術文庫)

M. J. Adler, C. V. Doren, How to read a bookの邦訳.
本を読むということが,単にページをめくりながら活字の上に目を走らせる,というだけではないことを,系統だった読書の方法を述べることで説いた本.
初版は1940年代のアメリカで出版されたもの.現在でも大変価値がある.読書の習慣のある人,これからもう少し本を読みたい人,皆に強くお勧めする.
ただし,本書で主に扱うのは,「理解を深めるための読書」,即ち,「自分の理解を超えた本によって,『浅い理解から深い理解へ』と,読み手自身を引き上げていく」(同署p.19),読書である.
「情報を得るための読書」や,「娯楽のための読書」は副次的にしか扱っていない.これらが三つの異なる種類の読書である,としている.

一方で,読書のレベルとして4階層を設けている.
1. 初級読書.個々の言葉を識別し,文章が何を述べているのかを理解する
2. 点検読書.時間を限って,内容を出来るだけ把握する.系統だった拾い読み.その本は何について書かれたものか,構成は?どんな種類の本か?
3. 分析読書.内容を把握し,理解を深めるために,系統立てていくつも質問しながら徹底的に読みぬく.
4. シントピカル読書.一つの主題について何冊もの本を相互に関連付けて読む.さらに,それらの本に明示されていないテーマを発見し,分析する.

本書では1, 2について述べた後,3にもっとも重点を置いた解説がなされている.
それについては,ぜひ本書をごらん頂きたい.

原書には,著者らによるreading listがあるようだが,なぜか翻訳では割愛されている.
Wikipedia(英語版)には含まれているので,そちらを参照されたい:
http://en.wikipedia.org/wiki/How_to_Read_a_Book

2008年2月10日日曜日

来年度の講義を計画中

後期の授業は,試験も実施し,レポートも集め,採点集計結果の掲示と一通り済ませた.
来年度のシラバスの執筆という仕事が,計ったようなタイミングでやってくる.

ここ数年は,毎年のように違う講義を担当しているので,シラバス作成というのもなかなか頭を使う.以前担当した時のを使いまわすということが出来ない.
自分が受講したことのある講義なら,その頃のことを思い出そうともしてみる.が,するとそれが20年前の事だということに気がついてそちらに驚いたりして(学部入学が1988年).

講義内容の選定と教科書探しで,関連のありそうな本を何冊か物色中.専門に近いテーマに関しては,それほど迷わないが,そうでない分野については改めて情報収集が必要である.ここ数日は,数値解析方面.学部レベルの数値解析では何をやるのか?というあたりから,勤務先のシラバスを読んだり,MatlabやOctaveの入門書をめくったり(北本卓也,Octaveを用いた数値計算入門 (Computer in Education and Research)や(北本先生は私が大学院生の頃に,同じ研究科で助手をしておられたので,計算機関連でいろいろお世話になった),桜井鉄也,MATLAB/Scilabで理解する数値計算など.).

C言語で基本的なところ(コンピュータでの数値の表現や,浮動小数点数の話,初等関数の数値を求める話)をやって,後は線形代数と微分方程式の数値解法をやるのが基本路線らしい.線形代数や微分方程式をCでやるか,別のパッケージを使うかが考えどころ.行列の基本変形などをCで書くのは,受講者には大きな負担になるだろう(彼らのCの理解度によるけど).それに,社会に出て,数値計算が必要になるときには,スクラッチから書いたプログラムなんか使わないだろうし,MatlabやOctaveを使ったことがないんじゃ,モグリ扱いされそう.

それとは別に,自宅のパソコンで数式処理のようなことをするのに,Maximaを導入してみたので,参考書にあたっている.(職場ではMathematicaのライセンスが自由に使える).

横田博史,はじめてのMaxima (I・O BOOKS)をぱらぱらめくってみると,大変面白いのだった.タイトルはMaximaだが,筆者はKnoppix/Mathに収録されているいくつかのソフトの紹介を目論んでいる.取り上げられているのは,Singular, Surf, Octaveなど.また,Maximaについても,通り一遍に使い方を述べるのではなく,背景となる数学の知識(群・環・体から)やプログラミング言語の知識(つまりLisp)を解説している.さらに,Maximaを改造するための知識や,他のソフト(例えば上述のOctave)との連携にまで及んでいる.後半で,プログラムの実際例として取り上げている,結び目のAlexander多項式の計算なども面白い.全体を通して,少々誤植が目に付く.でも,数式処理に興味があるなら,手元に一冊あるといい本だと思う.