2013年7月30日火曜日

40年

午前中は学内某所に潜伏して文献読み.さすがに試験週間中は混雑する.

周りを見回すと,試験勉強に打ち込む人,そのはずが談笑・スマートフォンいじりになっている人などいろいろ.キッテルの固体物理学を開いたまま固まっている人もいたりして,たぶん固体になりきっているんだろう(駄洒落).

昼食を挟んで,午後はM1ゼミ.Ireland-Rosenの11章は終わらず,対角型超曲面のゼータ関数を計算するところまで.本文中に,Weil予想は1973年にDeligneによって解決,とある.論文Weil I (リンクはNUMDAM)は1974年刊行だが,確かに投稿は1973年の9月だった.40年経っているのか.

M1ゼミはいつもより少し早めに終わったので,昨日実施の期末試験の採点をすべき,と分かってはいたのだが,自分の文献読みを進めてしまった.

2013年7月29日月曜日

期末試験

月曜1限1年生向けの線型代数は,期末試験.土砂降りだが,だからといってどうすることもできない.粛々と試験を実施する.

昼休みに会議が入っていたのを忘れそうになる.終わって遅めの昼食.引き続きM2ゼミ.論文購読が難航している.

終日雨脚が強く,帰りに電車の中から見た神通川にも,濁った水がいつにない水かさでどうどうと流れていた.

電車の行き帰りで,堀越二郎,「零戦 その誕生と栄光の記録 (講談社文庫)」を読了.

「アイデアというものは,その時代の専門知識や傾向を越えた,新しい着想でなくてはならない.そして,その実施は人より早くなければならない.」

「いま目の前に見ている世界の一流品を目標にして,それに近づくための演習に終わってしまい,これを抜くことができなくなるおそれがあるのである」(同書No. 2646付近)

などなど,まさに頂門の一針.

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2013年7月24日水曜日

線型

朝からざぁざぁ降り.

午前中は学内某所に潜んで文献読みをする.期末試験前はごった返すのだが,空模様のせいか,今日はそれほどでもなかった.

昼食時に居室にいると,線型代数の受講者が,「質問いいですか」と来室.応じると,「微積なんですけど……」「……」.持参の教科書は齋藤正彦先生の「微分積分学」で,奇しくも,線型代数・微積の両方で齋藤先生の本を使っているらしかった.更に別の来訪があったが,昼食後にしてもらう.

山口大の数学科の試験問題が斬新だという話が聞こえてきて驚く.シラバスが公開されているので,どの授業か見当をつけるのも難しくなく,なかなか楽しいご時世である.



2013年7月23日火曜日

禁じられた素数

火曜日午前は,自分のゼミの院生向けに雑談ゼミ.大分前に用意したノートで,ろくにおさらいせずに話し出したら,ずいぶんと見苦しい様子になってしまった.大いに反省せねば.

昼食を挟んでM1ゼミ.Ireland-Rosenで,合同ゼータ函数の話.代数幾何の言葉遣いをできるだけ素朴な範囲にとどめているので,かえって深読みが必要な感じがする.また,有限体の拡大の取り扱いが,素体上の拡大の場合と,有限体上の拡大との場合とで分けて書いてある.初学者への配慮かもしれないが,後者を論じるときに,「素体の拡大のときと同様の議論で」が頻出する.しかし大過なく終了.

違法素数」(リンクはWikipedia)というものがあるらしい.どんなデータもビット列にして(0だけの並びではないとして),それを自然数の2進表記だと思えば,その自然数を法として1余る素数が存在する.つまり,何らかのデータを違法だとするなら,自動的に違法な素数が1つ生み出されることになる.素数表の単純所持が禁じられる日がくるだろうか?

2013年7月22日月曜日

線型代数最終回

月曜1限1年生向けの線型代数もいよいよ大詰め.今日が講義最終回で,次回は期末試験だ.連立一次方程式の解の一般形を導く.例年の観察によると,基本変形ができない人はほとんどいないが,解に自由度がある場合に一般形を書き下せない,という人が一定数出る.このことを4回くらい繰り返して念を押した.

本学でもご多分に漏れず,授業評価アンケートというものがあるので,配布して記入していただく.以前,担当教員名に同僚の名前が書かれていたことがあって,間違いを防ぐために(最終回だが)あらためて名乗る.講義が終わって,回収したアンケートを眺めていて驚く.



午後はM2ゼミ.

2013年7月4日木曜日

木曜日はセミナ

不安定な天候,気温が高く風が強く,時折雨がざぁっと降る.少し遅めに出勤.

外に持ち出すラップトップに,lubuntuを入れてみる.VMWare上の仮想マシンを新たに作って,ダウンロードしたインストーラーのイメージファイルをマウントして,聞かれるがままにクリックするだけ.簡単である.少しカタカナが多いが.

TeX, emacsなど生活環境を整えつつ昼食.少し前に,USB接続のモデム(Emobileのもの)を制御するためのソフトを更新したのだが,パスワードなどが飛んでしまい接続できなくなってしまっていた.今日は金沢でのセミナだが,ラップトップは居室に置き去りにする.

外に出ると強烈な蒸し暑さ.日射しは少ないが,熱風が吹いている.高速バスに乗り込む少し前から突然の驟雨.

今日は,基礎体を有理数体の $q$ 次巡回体と指定して,その上に,位数が $p^3$ ($p, q$ は奇素数)の群をGalois群に持つような不分岐拡大を構成する,大変明晰なお話だった.そういった拡大のGalois群として現れる謎の群たちも活躍する.pari-gpでの数値計算もあって,個人的にはそこもワクワクする.

帰りのバスの中で計算の追試をしたいところだが,あいにくと置き去りにしてしまっていた.小雨のぱらつく中を帰宅.

2013年7月2日火曜日

ゼミゼミ

午前中の雑談セミナ(私が話す)は,昨日のゼミをスピーカ氏の都合で延期にしたM2ゼミに振りかえる.群論の復習で,冪零群の特徴付けなど.

昼食を挟んで,午後はM1ゼミ.スピーカ氏の都合で通常より30分遅らせて開始.Ireland-RosenのA Classical Introduction to Modern Number Theory (Graduate Texts in Mathematics)で,Chevalley-Warningの定理.これはSerreのA Course in Arithmetic (Graduate Texts in Mathematics)でも最初の章の§2で論じられている.

終了後,図書室で文献を眺めて,コピーをサボってオンラインで検索しているうちに帰る時間になった.最近は,arXivや著者のウェブページなどで(多くの場合)論文がPDFで手に入り,タブレット端末に保存して常時参照できる.ありがたいかぎりである.


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