2007年12月22日土曜日

今週の授業

  • 情報科学特論:通常のDirichlet級数(Σa(n)/n^s)の話に入った.係数が適当な有限性を持つときの収束半平面の存在や,係数が乗法的の時にEuler積を持つこと,特にRiemann ζ関数を導入し,Σp^(-s)の発散とlog(s-1)の発散の比較など.
  • 四年生ゼミ:平方剰余記号を導入して,証明のためのGaussの補題まで.
  • 代数学特論A: 大体上の情報科学特論と同じ.
  • 複素解析学I: 遅ればせながら中間試験.

先週は一週間京都出張で不在だった.年内の講義はこれで終了.年明けはほぼ1月中のみ?

2007年12月9日日曜日

Dell XPS M1210のメモリ換装

常用しているサブノートPC, Dell XPS M1210(職場の備品)のメモリを換装。

購入時に512MB x 2で1GBで使っていたものの、幾つかアプリケーションを立ち上げると(特にVMWare Workstationなど)、メモリ不足からスワップが起こってしまっていた。

メモリの価格が激しく下落していることもあって、BuffaloブランドのD2/N667 (PC2-5300 S.O. DIMM DDR2 SD-RAM, 2GB)を二枚奢って、計4GBへの換装を目指す。



参考にしたのは、XPS/M1210に関するwiki:
http://abc.s65.xrea.com/dell/wiki/XPS/M1210/#mb8d4671

と、そこからもリンクされている
http://www.fxtechnical.net/2006/11/dell_xps_1210_1.html

まずマシンの電源を切り、ACアダプタとバッテリパックを外す。ドアノブなど金属にさわって、静電気対策。背面のメモリスロットは、ネジ一本で蓋を開けて、メモリモジュールを交換するだけ。

ついで、キーボード裏のメモリスロットへのアクセス。ヒンジカバーは爪楊枝でそっと外し、何カ所かある爪も同様に楊枝で外していく。



するとキーボードを固定しているネジ三カ所にアクセスできるようになる。普通の+ネジを外すと、キーボードを外せる。フラットケーブルがメインボードに伸びているのに注意しつつ、手前側に(フラットパッド側に)起こすと、本体中央付近にメモリソケットがある。後は通常通り、メモリを固定している金属の爪を左右に避けると、メモリモジュールが立ち上がってくるので、換装する。




後は逆の手順を辿ればよい。

起動すると、BIOS画面の前に、メモリの総量が変化した旨のメッセージが現れる。
しばらく待つと、BIOS設定画面へ移行するか、そのまま起動するかの選択肢が現れる。念のためBIOS画面でメモリの総量を確認する。めでたく4096MBになっている。



Windows XPを起動して、システムの状況を確認すると、実装されているメモリが4GB, システム使用領域が取られて、ユーザ側が使えるのは3GB程であることが分かる。


増設後に使ってみると、期待したとおり、複数のアプリケーションを立ち上げたときのレスポンスが改善されている。

VMWare内の仮想PC(FreeBSDを運用中。主にPari-gpのプログラム作成・テスト、LaTeXによる文書作成)に512MBを割り振っていたので、メモリ増設前は、VMWareとFirefox 2とで既にスワップが発生するという状況だった。

必要に応じてxyzzy(テキストエディタ), MathematicaやOOo, MindManagerを立ち上げる、という使い方をしても、ほとんどストレスを感じない。良い投資だったと思う。

2007年12月8日土曜日

金曜日の授業:複素解析学I

解析関数の話の続き.解析関数の零点.有理型関数を導入し,除去可能特異点とか,有理型関数の極と位数を定義.ある領域の上の有理型関数の全体がC上の拡大体になることなど.最後の主張の証明は省いて(教科書に書いてあるので),複素変数の三角関数,双曲線関数を導入.少しだけ具体例を計算.

例によって後半駆け足になった.複素変数の対数関数やべき根関数は次回以降.来週は出張,その次の週は中間試験.ということは次の講義は年明けか.

テキストに指定しているのは,高橋礼司「新版 複素解析」,東大出版会.

2007年12月4日火曜日

火曜日の授業:情報科学特論

前回に引き続き、Dirichlet級数。
今日は収束半平面の存在、Dirichlet級数の正則性など、基本的な性質を証明して終わった。

次回は出張のため一回休み。

2007年11月28日水曜日

火曜日の授業:情報科学特論

前回から算術級数の素数定理に向けて話を始めた.

今回は,Dirichlet指標の話の続き・補足として,Legendre記号(平方剰余記号)のお話.定義から始めて,意義(素体の乗法群の平方元を識別する),第一,第二補充法則と相互法則,それらを使った計算法.もちろん証明は抜き.

さらにDirichlet級数の話にむけて,複素関数論や級数論などからいくつか補題を用意.

この辺の話は,J.-P. Serreの
A Course in Arithmetic (Graduate Texts in Mathematics)
によって講義中.

2007年11月27日火曜日

書評:勝間 和代,お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

勝間 和代,お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)を取り上げます.



新書らしいタイトルになっていますが,副題の方がより内容をあらわしていると思います.「こうしたら儲かりますよ」的なノウハウ本(多くが信憑性に疑問のある)ではなく,次のような事を説いています:

  • 金融リテラシーとは「金融に関する情報や知識を単に学ぶだけでなく,そこで与えられたものを批判的に見ながら自己の金融に対する学習を経験として重ねていくことで,金融の情報や知識を主体的に読み解くことが出来るようになること」(同書p. 18)

  • ワークライフバランスのために,資産ポートフォリオの中にリスク資産を組み込むことが必要

  • リスクとコストに見合ったリターンを得られる金融商品を選んで,適切な資産ポートフォリオを組む

1章は上記のような全般的なこと,最終章の4章は「金融を通じた社会責任の遂行」と題して,社会責任投資や金融の生涯教育について論じています.これら2つの章がこの本に独自の大きな柱と言えるでしょう.

同じ著者の「無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」や「無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法」にも通底するテーマが,自分の労働時間の単価を上げることで,労働以外に使える時間を増やそう,ということ.本書も,そのテーマを実現するための一方法と見るべきでしょう.

2章では,定期預金と国債から始めて,株式,為替,不動産,投信,生命保険などの解説.3章は実践編として,証券会社に口座を開き,インデックス投信の積み立てを始める云々.

これからリスク資産の運用を始めようとする人には,明快で平易な解説書としてお勧めです.少し知識のある人や,既にリスク資産の運用を開始している人には,各金融商品の説明がやや食い足りないかもしれませんが,上述のように,1章,4章の記述が興味深いと思います.

以下余談.株の個別銘柄取引で利益を出すのは,素人にも玄人にも難しく,インデックス商品のbuy and holdが長い目で見ればもっとも有利な戦略,ということを納得したい人には,橘玲「臆病者のための株入門 (文春新書)」をお勧めします.


また,資産運用においては,どの銘柄,どの投信を買うかよりも,どの資産をどのくらいの割合で持つかの資産配分が重要であること,ならびにここの金融商品の売買に関する詳細については,内藤忍「内藤忍の資産設計塾―あなたの人生目標をかなえる新・資産三分法 」自由國民社など内藤氏の本をお勧めします.ただし後者は,マネックス証券の関係者ということで,具体例としては同社が取り扱っている商品が多く取り上げられています.

2007年11月22日木曜日

水曜日の授業:代数学特論A

講義の内容は、4年生向けの講義とほぼ同様(Dirichletの算術級数定理が当面の目標)。ただし、証明を付ける部分を増やしたり、例を増やしたり、その分ペースが少し速い。

火曜日の4年生のセミナーでは、偶然ながら関連する話題が解説された。4で割って1余る素数が無数に存在することの証明(xが整数の時に、x2+1の素因数がその形に限ることを使う)、ついでに、任意の整数mに対して、mで割って1余る素数が無限個存在すること。

大学院の講義で、その話も入れようかと思ったが、尺に収まらなそうだったので割愛。

2007年11月21日水曜日

電子ブックリーダー Kindle (Amazon.com)

Amazon.comから,新しい電子ブックリーダーKindleが発売された.
http://amazon.com/kindle

Internet Watchの記事に簡潔にまとめられている:
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/11/20/17577.html

携帯電話網(EVDO)を使ってデータをダウンロードするが,ユーザは携帯電話会社との契約が必要ないことが面白い(amazon.comが仲介している).肝腎の電子ブックの品揃えも,既存のサービスと比べればかなり大規模の模様.

EVDOは,日本ではauがCDMA 1x WINの名称で展開している.国内でのサービスインも案外近いうちにあるかもしれない.ターゲットとなるのは,新書やライトノベル,ケータイ小説の類が考えられるが,電子ブックのコンテンツの多くが9.99$というのは,書籍と比べられると割高.

本体は399$. amazon.comでの反応を見ていると,やはり「高い」という声が目立つ.液晶ディスプレイではなく電子ペーパーを用いていることなどに価値を見出せて新しい物好きな,early adopter向けがジェットかも.個人的には,とても興味があります.

そのほかこまごましたことについては,boingboingのエントリ参照:
http://gadgets.boingboing.net/2007/11/19/15-things-i-just-lea.html

2007年11月20日火曜日

火曜日の授業:情報科学特論と4年生ゼミ

4年生向けの情報科学特論。前回までに、素数の個数を数える話をしていて、π(x)が x/log(x)の定数倍で上下から抑えられるというような所まで終了。素数定理は紹介するだけにして、今日から、算術級数の素数定理や、Riemann ζ関数の整数点での値をBernoulli数で記述する話に入った。

といいながら、今日は有限Abel群の指標とか、双対定理とかを説明。しかも後者は証明はせず、アウトラインの解説のみ。ベクトル空間の双対定理も併せて解説した。線形代数の講義では、普通この辺には踏み込めないので。

4年生のゼミ(高木先生の「初等整数論講義」)では、mod 4で1の素数が無限個存在すること、更に一般に、整数mに対して、mod mで1の素数が無限個存在することなどの初等的な証明。

2007年11月16日金曜日

金曜の授業:複素解析学I

2年生の複素解析学I. 今日はWeierstrassの意味の解析関数の続き。解析関数の定義や、簡単な例(有理関数になっている例)、ある領域上の解析関数の全体が、C-algebraになることなど。当たり前と言えば当たり前だが、最初に勉強する人向けだから、それなりに丁寧に。
問題は、丁寧にやったからと言ってわかりやすいというものでもないこと。

引き続き、8月下旬に福岡で講演したのの報告集の作文。だいぶ遅らせていて、世話人の方には申し訳ない限り。しかし今日中というのは無理かも。

福岡の報告集原稿が終わったら、今度はレフェリーレポート一件。年末の集会の準備も進行中。

思いつきでBlogger開始

webで日記を付けると言うことを約一年さぼったあげく、思いつきでblogを開始。
googleのいろいろなサービスに眉まで浸りきっているので、あまり他の選択肢を考慮せず、bloggerを選択しました。もう少し書き足してから、徐々に周囲に宣伝していこうと思います。

以前のweb日記同様、身辺雑事、去来する考えとも言えない思いつきなど、つれづれ書き付けていきます。