2008年2月10日日曜日

来年度の講義を計画中

後期の授業は,試験も実施し,レポートも集め,採点集計結果の掲示と一通り済ませた.
来年度のシラバスの執筆という仕事が,計ったようなタイミングでやってくる.

ここ数年は,毎年のように違う講義を担当しているので,シラバス作成というのもなかなか頭を使う.以前担当した時のを使いまわすということが出来ない.
自分が受講したことのある講義なら,その頃のことを思い出そうともしてみる.が,するとそれが20年前の事だということに気がついてそちらに驚いたりして(学部入学が1988年).

講義内容の選定と教科書探しで,関連のありそうな本を何冊か物色中.専門に近いテーマに関しては,それほど迷わないが,そうでない分野については改めて情報収集が必要である.ここ数日は,数値解析方面.学部レベルの数値解析では何をやるのか?というあたりから,勤務先のシラバスを読んだり,MatlabやOctaveの入門書をめくったり(北本卓也,Octaveを用いた数値計算入門 (Computer in Education and Research)や(北本先生は私が大学院生の頃に,同じ研究科で助手をしておられたので,計算機関連でいろいろお世話になった),桜井鉄也,MATLAB/Scilabで理解する数値計算など.).

C言語で基本的なところ(コンピュータでの数値の表現や,浮動小数点数の話,初等関数の数値を求める話)をやって,後は線形代数と微分方程式の数値解法をやるのが基本路線らしい.線形代数や微分方程式をCでやるか,別のパッケージを使うかが考えどころ.行列の基本変形などをCで書くのは,受講者には大きな負担になるだろう(彼らのCの理解度によるけど).それに,社会に出て,数値計算が必要になるときには,スクラッチから書いたプログラムなんか使わないだろうし,MatlabやOctaveを使ったことがないんじゃ,モグリ扱いされそう.

それとは別に,自宅のパソコンで数式処理のようなことをするのに,Maximaを導入してみたので,参考書にあたっている.(職場ではMathematicaのライセンスが自由に使える).

横田博史,はじめてのMaxima (I・O BOOKS)をぱらぱらめくってみると,大変面白いのだった.タイトルはMaximaだが,筆者はKnoppix/Mathに収録されているいくつかのソフトの紹介を目論んでいる.取り上げられているのは,Singular, Surf, Octaveなど.また,Maximaについても,通り一遍に使い方を述べるのではなく,背景となる数学の知識(群・環・体から)やプログラミング言語の知識(つまりLisp)を解説している.さらに,Maximaを改造するための知識や,他のソフト(例えば上述のOctave)との連携にまで及んでいる.後半で,プログラムの実際例として取り上げている,結び目のAlexander多項式の計算なども面白い.全体を通して,少々誤植が目に付く.でも,数式処理に興味があるなら,手元に一冊あるといい本だと思う.


1 件のコメント:

i.k. さんのコメント...

書籍「はじめてのMaxima」に関しては,この本の著者のweb pageも参照のこと.Maximaの解説文書(PDF)がダウンロードできるほか,様々な数式処理ソフトの解説あり.