2009年7月14日火曜日

根体,(最小)分解体,代数閉包

4年生のゼミで,体論の話を聞いていて気がついたというか,思い出したこと.

代数閉包の存在(Steinitz)を示すのは少し議論が必要だが,その前に,多項式が少なくとも一つ根を持つ体(根体)の存在を示す段階がある.これは易しい.

問題は分解体(考えている多項式が一次式の積に分解する体)の存在を示すステップである.代数閉包の存在を既知とすれば,これは当たり前.しかし,代数閉包の存在を示す議論の中に,実は分解体の構成の議論が組み込まれている.

根体の存在から,体を上げれば既約多項式の次数は次第に減っていくのだが,この議論を,文献によっては「帰納法により」と書いていたり,「帰納的に」と書いたりしているので,初学者は混乱するようだ.

分解体の存在を,多項式の次数に関する帰納法で示す場合,帰納法の仮定が何かを注意しておかなくてはならないと思う.Google Booksで検索したら,Birkhoff-MacLaneのAlgebraにはその旨が明確に述べてあった(p. 447, Theorem 4の証明).

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