2009年7月18日土曜日

隣町セミナ・Rabin暗号

恒例の隣町セミナ.今日の話題は暗号,特に公開鍵暗号方式の一つRabin暗号について.

Rabin暗号は,その解読の困難さが,公開鍵の素因数分解と同等であることが証明されている,という意味で,安全性が証明されている.しかし広く普及しているとは言えない.(一方,広く用いられているRSA暗号は,解読の困難さが公開鍵の素因数分解と同等であることは証明されていない.公開鍵を素因数分解すればRSAを破ることはできるが,もしかしたら素因数分解をせずとも解読できるのかもしれない).

Rabin暗号が普及しない1つの理由は,暗号文を平文に復号したときに,平文の候補が4通り出てくる,という欠点のせいかもしれない.しかし,この欠点は,余分に情報を付加するなどして取り除くことができる.今回のお話も,Rabin暗号を一意復号可能に改良することと,計算時間の評価が主題であった.

ただ,暗号(に限らず,いろいろな技術)の普及というのは,本当によいものが普及するのではなく,それまでの状況に大きく左右される.特にインフラと言えるような基盤技術に関してはそうである.というわけで,Rabin暗号の将来が非常に明るいとは,なかなか言えなさそうである.

スピーカの先生の翻訳をリストにしました:

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