2010年10月18日月曜日

後期の講義;線形代数学II

後期の講義は,線形代数学II(2年生向け)と,代数学II(3年生向け).前者は週2回,月曜と木曜であり,後者も木曜である.木曜は隔週で金沢でのセミナがあり,やや忙しい.金曜にも不定期で講義がある(オムニバス形式なのだ).

線形代数学の講義は,前期を担当した同僚から引き継いだところ,正規行列が対角化可能であるとか,複素数体上の線形作用素のスペクトル理論とか,ほぼ一通り終わっているとのことだった.Jordan標準形から始めればいいのだが,教科書では証明が省かれており,しかも30回も講義回数があるとなると,時間余るように思われる.

なので,単因子論の前振りとして,整数行列のSmith標準形から話を始める.そのために,整数のEuclid性などから説き起こした.今日までの3回でSmith標準形が一段落.

応用として,有限(生成)Abel群の構造定理などを解説するのが定番だろうが,2年生向けと言うことで割愛.有限Abel群の当たり前でない(1の冪根の群など,巡回群でない)例で,2年生にも手短に説明できるものが思いつかなかった.2元2次形式の同値類を合成によって群と思ったものとか……?

種本は,木村達雄先生他の「代数の魅力」.

2010年6月8日火曜日

Epigraph of A. Weil, Basic Number Theory

A. WeilのBasic Number Theoryは,修士から博士にかけて,苦労しながら読んだテキストである.書名にBasicとはあるが,代数体と有限体上の1変数代数関数体のゼータ関数,L関数の理論や,類体論までを含む専門的なモノグラフである.

この本で,少し大げさに言えば,唯一読み残していた箇所がある.冒頭のForeword(序文)に付された,エピグラフである.昔から疑問に思っていたのだが,最近の機械翻訳やInternet検索の進展から,おおよその見当を付けることが出来た.

その一部始終を,twitterで呟いていたのを,twilogを経由して保存し,註釈を加えたのが以下のものである.註については,括弧書きにした.

きっかけは,Twitterにおける@SpringerJapanの人気コンテンツ,「今日の数学者」で,M. Zornが取り上げられたことである.Zornといえば,名を冠したレンマで有名だが,E. Artinの弟子であり,数論でも業績がある.以下twilogから.

今日の数学者が帰ってきた :) Zornは彼の有名な「レンマ」でだけ言及されることには,やや不満だったそうな.代数体上の単純多元環のゼータの仕事あり QT @SpringerJapan: 【今日の数学者】6月6日は「ツォルンの補題」で知られるツォルンの誕生日(1906年生)。


posted at 22:30:17


Zornが無くなったのは割と最近で(調べたら,1993/Mar/9),訃報が数セミに載ったのを見て,え?と思った記憶が.証明論が専門の先輩に,Zornのレンマが発見される以前は,例えばベクトル空間の基底の存在なんかはどうやって示してたんでしょう?と尋ねた.解答は忘れました :)


posted at 22:35:09



(註:Zornの仕事については,WeilのBasic Number Theoryでも触れられていたような気がしたのだが,探すと見つけられない…….)

A. Weil, Basic Number Theoryの序文のエピグラフの出典を特定しようと無駄な努力をした.なにしろギリシャ語全然分からないのに.


posted at 23:31:20



(註:Weil自身は,彼の自伝にもあるように,医師である父親がギリシャ語に堪能で,本人もリセ時代から古代ギリシャ語に親しんでいる).

でも,Google Translateを使って,「Αριθμόν, εξοχων σοφισμάτων. Αίσχ. Προμ. Δεσμ. 」が,「Number, super sophists. Shame. Suppliers. Bond.」だと言うことは分かった.


posted at 23:32:13


「Αίσχ. Προμ. Δεσμ. 」で調べると,Aeschylusの http://ow.ly/1UHCM (GBooks)というのが出てくる.でも,「Αριθμόν, εξοχων σοφισμάτων.」という文言は見つからない…….





posted at 23:36:49


杉浦先生訳の「著作集自註」の同書の箇所は,「この本の序文は,どのような事情でこの本が書かれたかを十分説明している.」なのだが,序文のエピグラフの出典についても明かして欲しかった.


posted at 23:44:54


と言うわけで,アイスキュロスの「縛られたプロメテウス」の,459行目「私は彼ら(人間)の為に,数学も創造した.最も重要な科学だ」 http://ow.ly/1UHRD でファイナルアンサー?


posted at 23:51:22



(註:分かってみれば,Weilの序文にも,Προμηθεύς Δεσμώτης / Promētheus Desmōtēs の略記があったのだった).

2010年5月5日水曜日

五箇山,城端

連休中の観光で,五箇山相倉集落と,城端町の市内を回る.

相倉集落は,ユネスコの世界遺産にも認定されている,合掌造りの家々が立ち並ぶ集落.観光地として整備されていて,逆に驚くほど.岐阜県側の白川郷が有名だが,こちらはもう少しこぢんまりした規模である.

日差しが強く暑い一日だったが,遅咲きの桜や花桃が咲き,遠くには雪で白く輝く人形山が望まれ,大変素晴らしかった.

城端では,曳山の準備が進められていて,所々で道路を曳かれる山車を見ることが出来た.

2010年4月14日水曜日

新年度学部ゼミ・初回

4年生のゼミも始動.今年は2人と,例年よりも小ぶりな規模である.昨年度後期,この学年の代数学を担当したので,難しいと敬遠されたのかな,と勘ぐる.

1人はその代数学を受講しており,もう1人は受講していなかったという.題材の選択に少し困ったけど,初等数論から始めることにした.

昨年度の代数学のテキストが,中島匠一先生の「代数と数論の基礎 (共立講座21世紀の数学)」だったので,その1章(講義は2章から始めた)を読む.5月の半ばから,ゼミ参加者のそれぞれが,やや時期をずらして教育実習に行ってしまう.それが終わってからが本番という段取りになるだろうか.

2010年4月12日月曜日

新年度修士ゼミ・初回

しばらくご無沙汰のこのブログ,新年度をきっかけに更新を再開したい.

今年度は,数学専攻全体で修士が14名.うち4名が私のゼミに所属する.3名は学部のゼミから持ち上がり,1名は別のゼミからの合流である.

春休みに間に,修士論文に向けて,これからの勉強の方針を立ててみたので,それを説明した.数学的な内容もさることながら,それなりの規模の(数十頁)作文をすることになる.そちらの方も,LaTeXなどの技術的なことと,より一般的に「読んで書く」ということとについて,参考文献を挙げた.

2年はそれほど長い時間ではないので,脇目を振らずに突進して頂きたい :)