恒例の,北陸数論セミナへ.今日は自分がしゃべる番で,H. CohenとH. W. Lenstraの,いわゆるCohen-Lenstra Heuristics(以下CLHと略)についての雑談をした.当該論文は
これ(PDF).参加者は他に2人で,ひっそりと.
CLHが紹介されるときには,しばしば,奇素数を固定して,判別式を持つ虚2次体の類数(イデアル類群の位数)がで割り切れないようなの密度の評価式として述べられるようだ:
この式がどうもうまく表示されない.念のため別の方法でも書いておく:
これはもちろん誤りではないが,CLHはより根本的な予想を述べたものである.つまり,虚2次体のイデアル類群の奇部分が,「ランダムに分布している」,という主張である.つまり,奇数位数の有限Abel群の同型類全体の上で定義されている関数に対して,とをを次のように定義する:
こちらもうまく表示されないので,別の手段でも書いておこう:
ただし,正の実数 に対しては奇数位数の有限Abel群で位数が以下のものの同型類全体,はの自己同型群,は集合の元の個数,である.
このとき,虚2次体のイデアル類群の奇部分のランダムな分布(Cohen-Lenstraの論文で,Fundamental Assumptionとされているもの)とは,次のように定式化される:
右辺が,純群論的な量であることに注意されたい.
として,考えている群に対する色々な性質の特性関数をとり,右辺を計算することで,イデアル類群の奇部分が同じ性質を満たす虚2次体の「密度」が求まる,という仕組みである.例えば奇素数を取り,の位数がで割り切れないとき, そうでないときとすると,上に述べたような無限積が現れる.
Cohen-Lenstraの論文の大半が,このような計算をするための枠組みの解説に費やされている.しかも,有限Abel群ではなく,Dedekind整域を固定して,有限加群に対して定式化されている.実際に2次体の密度の話がされるのは,最後の節だけである.
また,2次体だけでなく,より高次の体の族を扱おうという試みも当初からなされているが,より一層speculativeになる.
セミナではまた,関数体の場合の話も少しだけ触れた.
MathJaxを使ってblog記事を書いてみたが,ちょっともどかしい.普段通りにエディタの上でTeXの文書を書き,それをblogの編集画面に貼り付けるのが一番簡単なようである.また,blog記事のpreview画面では,意図したようにTeXでレンダリングされないこともたまにある.難しいものである.補助的に,オンラインで使える
Equation Editorも使用した.