2012年5月27日日曜日

Sage Days 39 in Japan

Sage Days in Japanが九大伊都キャンパスで開催されたので,参加・講演してきました.

Sageは,Mathematica, Maple, Magma, Matlabなどの商用数式処理システム,数値計算システムをフリーソフトで置き換えようという野心的なプロジェクトです.現在,Linux各種ディストリビューション,Apple MacOS X,Microsoft Windows上で動きます.また,iOSデバイス(iPadやiPhone),Androidデバイス上で動くものも開発が進められています.

Sage Daysというのは,Sageの開発,また利用普及をするための集まりで,Sageユーザたちが自発的に行っているものです.これまでの様々な催し(世界各地での)についてはWikiにまとめられています.

初日は,主催者の一人横山さんの基調講演「数式処理システム Sage への誘い / A brief tour of some of Sage's features」から開幕.Sageがどんなものでどんなことができるのか,開発プロジェクトを率いるSteinさんの横顔や,実際にSageを使ってどんな計算が出来るのか,のプレゼンテーションでした.

会場に居る人は殆ど皆,ノートパソコンを持参していたようです(主催者が呼びかけたわけではないのに).午後は,それぞれのノートパソコンへSageをインストールするところから.

Macの人は,ほぼ苦労なく,ダウンロードしたものをインストールすることが出来たようでした.一方,Windowsの人は少し苦労があったようです.VirtualBoxという,無償で使える仮想化ソフトの上に,LinuxにSageをインストールしたものを導入するのですが,日本語キーボードや日本語フォントの未搭載など,解決すべき点があったようです.主催者の一人の沼田泰英さんが,相方の西山絢太さんとともに,それこそ残像が残るような機敏な動きで会場を走り回り,火消しに当たっておられました.

Windowsパソコンへの導入を回避する方法がもう一つあって,会場で配布されていたMathLibreを使う,と言うものです.こちらで使っていた方もおられました.MathLibreは,数学ソフトウェアをこれでもかというくらいにたくさん(もちろんSageも)導入した,Linuxディストリビューションです.DVD-ROMやUSBメモリに書き込み,それらからパソコンを起動することで,インストールせずに使うことが出来ます.

午後2コマ目は,実際にSageを試してみるというセッションで,主にSageを使うのに必要な,Pythonの実習でした.

Sageは実は,様々な数学ソフトウェアをPythonで束ねた統合ソフトウェアです.なので,使うには最小限のPythonの知識が必要です.

3コマ目は,福岡大学の濱田龍義先生(Knoppix/Math, MathLibreを作っている方)の,「Sage Days 韓国訪問記」でした.実は韓国で一足先に,Sage Daysが開かれていたのでした.また,Sageについての分厚い書籍(韓国語なので読めないですが,大体分かります)が出版されていたりもするそうです.

2日目は,私がSageを改造・改良するための一連の手順についてお話ししました.(プレゼンテーションスライドを下に貼っておきます.このほかに,実際にSageのソースコードを改変したり,改変したものを起動して計算したりのデモを行いました):



さらに2日目午前の2コマ目は,福岡教育大の藤本光史先生による「タブレット端末上の数式処理システムの現状とその実装」というご講演でした.リナックスの走るザウルス上でのRisa/Asirの実演や,パソコン上での手書き数式認識,また最近のiPadやAndroid端末上での数式処理システムの実装についてのご報告で,実に目を奪われました.

プログラムにあったのは以上ですが,午後は有志で,今回の集まりの反省,今後の,国内で開催するSage Daysについての方針の話し合いなどがもたれました.

会期中・会期後にtwitterでhash tag #SDJ39 付きで呟かれたものは,togetterでまとめを作りました.講演のプレゼンテーションやSageワークシートなどは,全部ではありませんがSage Days in Japan 39のウェブページからたどれます.また,会期中幾つかの講演はUstreamにて中継され,オンラインで視聴しtwitterなどで参加された方も大勢いらっしゃいました.


Live stream videos at Ustream

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