2008年7月15日火曜日

月曜日の講義:自然と情報の数理・イスラム圏の数学他

イスラム圏の数学の幾つかの結果を眺める.

まず冪和の公式.カラジーによる,1^3+2^3+3^3+...+10^3 = (1+2+3+...+10)^2 の証明.初等的な(正方形の面積と,グノーモンの面積の)考察から鮮やかに結果を導く.更に,ハイサムによる結果は,3乗和に限らず,k乗和の公式を帰納的に求めることが出来るものである.17世紀のBernoulliの結果に先立つこと500年以上である.

次いで,2項定理と数三角形(別名,パスカルの三角形)の話.これも,インドや中国では古くから知られていた.パスカルはむしろ,最後の発見者と言っても良いくらいかもしれないが,数学的帰納法を現在の形に書いた功績によって名が残っているのだと納得しても良い.

最後に,ハイヤームらの3次方程式の解法(円錐曲線の交点として)を話す予定だったが,時間切れだった.

ルネッサンス期の数学に直結するような結果が多数見られ,大変興味深い.
今回もカッツの「カッツ 数学の歴史」に大いに依存した.



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