2012年9月7日金曜日

abc, Wieferich, Mollin-Walsh

庭木に毛虫がたかっているので何とかすべし,とのご下命を賜る.朝から殺虫剤を撒く.イラガの幼虫で,毎年恒例の行事である.なんの恨みもないけれども,浮き世の義理でご容赦願いたい.

残暑厳しい秋空の下,しずしずと書き物調べ物.

$abc$予想の帰結の一つに,Wieferich素数でない素数が無数に存在する(リンク先はJ. Silvermanの原論文だがpay wallの向こう側),というものがある.

一方,Mollin-Walshの予想というものがある.これは,3つの連続するpowerfulな自然数はないだろう,と言う予想である.powerfulな自然数$n$というのは,素因数がどれも2冪以上で入っている,つまり,$p \mid n$ ならば $p^2 \mid n$ がなりたつ自然数のこと.

もしWieferich素数でない素数が有限個で,つまり,ある $p_0$ から先の素数がすべてWieferich素数だったとする(現在まで,$17\times 10^{15}$ 以下の既知のWieferich素数は $11$, $1093$ だけなのだが).

このとき,$t = \prod_{p\le p_0} p$, $A=2^{t\varphi(t)}$, $\varphi(\cdot)$はEuler関数,とすると,$A^n -1$ が任意の $n$ に対してpowerfulであることが示され,特に(2行ぐらい議論すると $A^2-1 = (A-1)(A+1)$の因子が互いに素で,よって), $A-1, \, A, \, A+1$ がいずれもpowerfulである事が示され,よってMollin-Walshの予想に反する,という議論である.出典はA. Granville, Powerful numbers and Fermat's last theorem, 1986, リンクは原論文PDF).

$abc$予想とMollin-Walshの予想の関係はよく分からないらしい.

0 件のコメント: