8,000円を切る廉価な電子ブックリーダーとして華々しく登場したが,電子ブックというのは,読む端末だけではなく,本を探し,あるいは何となく書棚を眺めるという楽しみも再現しなくてはならない,つまり,端末はごくごく一部の要素で,サービス全体がよくこなれていなければまったく満足できない,ということがよく分かった.
現在の楽天Koboのブックストアは,サービスイン当初から言われていたように,そして未だに,検索が使い物にならず,ジャンル分けも謎で,品揃えも悪い.そもそも,オンライン書店の楽天Booksと,Koboとが分離されているのもおかしな話である.
国内市場に参入すると言われ続けて数年が経過したamazonでは,amazon.comでの書籍売り場とKindleストアが一体化されていて,紙の本のハードカバー・ペーパーバックそしてKindle版と選べるようになっている.
Koboの品揃えを改善しようとしているのか,楽天は和書をいつまでに何万冊揃えると数値目標を掲げた.ギターのタブ譜を大量に揃えたりしているらしい.Wikipediaの作家に関する項目を,一作家に付き一冊の電子ブックとして無料で提供したりもし始めた.
このWikipediaの項目を電子ブックとして提供する際に,DRM(コピー制限)を行ったことは,Wikipediaの使用許諾に反するのでは?と気がついた人たちが居た.
Wikipediaの項目は,それぞれ,GNU Free Document Licence (GFDL)もしくは,Creative Commons のうち,CC-BY-SAのいずれかのライセンスで提供される.例えば後者では
「あなたは、本作品の頒布または公共での発表にあたって、このライセンスによって付与される利用許諾受領者の権利の行使を変更または制限するような技術的保護手段を用いることはできません。」(4.制限,(a))と規定されている. つまり,Wikipediaの記事を転載するに当たって,それにDRMを課すことは,CC-BY-SAというライセンスに反する.
この一件で,楽天Koboの使用をやめる決意をした.
丁度明日,SonyのPRS-T2が発売になるので乗り換えてみる.既に実機のレビューが公開されている.楽天Koboと,端末は非常によく似たスペックだが,始めに書いたように,電子ブック・電子書籍というのは,サービスの全体である.Sonyの電子ブック事業は,あまり派手ではなかったが長く続いている.ジャンル分けも,ざっと見る限りKoboよりまともである.
端末が届くのは月末になるようだが,楽しみだ.
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