線形代数のテキスト,基底についての記述が一つのポイントになる.1つの方針は,ベクトル空間を公理的に導入した後,できるだけ早い時点で有限生成の場合に話を限る,と断る.でなければ,基底が有限個とは限らないような記述を続けねばならない.どっちつかずだと混乱する.
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) November 12, 2012
などとつぶやいたら少しく反響があった. 本によっては,ベクトル空間を公理的に導入したのは良いが,基底の定義には,有限生成の場合しか書いてなく,暗黙に,この場合のみしか扱わないということがある.(明示的に,その場合のみを扱うと宣言している本もある.例えば齋藤正彦先生の本).
有限生成の場合で十分では,という意見もあるとは思うが,例えば体の拡大の次数は,上の体を下の体上のベクトル空間と思ったときの次元で,そのときも有限生成の場合しか考えないのか,というとそうもいかないので,やはりどこかで,基礎体上有限生成でないベクトル空間の(代数的な)基底の話をしておかないといけないはずである.(例えば藤崎先生の「体とガロア理論 (岩波基礎数学選書)」には,I章に,無限生成の場合も込めて,ベクトル空間の基底の濃度が基底の取り方に依らないことの証明が載っている).
引き続き代数学.多項式環など.詳しくはテキストを読んで下さいね,という技を頻繁に繰り出している割に,思ったように進まない.
午後はB4ゼミ.平方剰余記号,Jacobi記号の性質など.平方ではない整数 $a$ に対して,素数 $p$ で,$a$ が法 $p$ で平方非剰余になるものが無数に存在する,という定理の証明が面白かった.
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